昔、昔、その昔、
私とさぶろー山が結婚する前のこと(20数年前)。
クレーンゲームの中に伊勢海老を入れたUFOキャッチャーならぬ伊勢海老キャッチャーというものがあった。
もちろん伊勢海老は食用の活。
元気いっぱいに動く伊勢海老をクレーンで掴み取り、自宅に持ち帰って食べるという、なかなか斬新かつ夢のあるクレーンゲームだった。
動物愛護とか食品衛生上の問題で稼働時期はほんのわずか&販売台数も全国200台程度だったらしいので、
見たことがない人も多いかもしれない。
が、
たまたま20数年前の新潟にはそれがあった。
最初は「そういやゲーセンに伊勢海老がいるらしいよ~」「へー、じゃあ今度行ってみる?」くらいの気持ちだった。
「とりあえず1回やってみる?」くらいの気持ちでもあった。
しかし私たちはそこで気づいてしまったのだ。
「これ、500円で伊勢海老食べるチャンスじゃね?」
そう、高級食材として噂には聞いていた。
あのラッコですら見惚れることも知っていた。
が、
私もさぶろー山も食べたことがなかったのだ。
私に至っては本物を見たことすらなかった。
クレーンゲームの中とはいえ、初めての活伊勢海老は見事に私たちを魅了した。
食べたことがない伊勢海老に馳せる思いは一気に溢れた。
「とりあえず1回やってみる?」だった想いは、「是が非でも伊勢海老をとりたい」「いや、食べねばならない」へとなった。
私たちは足繁くゲーセンに通い、
休みのたびにコインを入れた。
給料を握りしめて伊勢海老キャッチャーに向かい、
来る日も来る日も伊勢海老と対峙した。
しかし、元々UFOキャッチャーが得意ではない私たちに動く伊勢海老はなかなかレベルが高かった。
500円玉はどんどんどんどん吸い込まれた。
吸い込まれる一方だった。
今思えば、間違いなく伊勢海老を買ったほうが安くて早くて確実なワケだが、
当時のアホにその視点はない。
「伊勢海老が食べたい=キャッチするしかない」
しかし、血眼で伊勢海老を追い続ける私たちを神は見放してはいなかった。
銀座で伊勢海老が食べれるほどの金額をつぎ込んだ頃、
さぶろー山が一匹の伊勢海老を捕らえた。
伊勢海老がゲートをくぐって下りてきた時、
私たちは手を取りあって喜んだ。
「やったね」「これで伊勢海老が食べれる」「今日は伊勢海老パーティーだ!」
さほど大きくもない伊勢海老をビニール袋にしまったあの瞬間を私は今でも覚えている。
こうして伊勢海老は無事にキャッチャーされ、我が家へと運ばれた。
この日はちょうどお正月休みだったこともあり、家にはおかんも待っていた。
「伊勢海老獲ってきたー!」の言葉にはおかんも沸いた。
なぜなら彼女もまた伊勢海老を見るのは初めてだったから(もちろん食べたこともない)。
まだ絶妙に生きている伊勢海老をテーブルに置き、私たちは拝んだ。
「これが伊勢海老」「初めての伊勢海老様!」
しかし拝むだけでは獲った意味がない。
私たちは食べるためにつぎ込・・・いや、獲ったのだ。
どうせなら鮮度抜群のうちに食べたい。
食べたいが、大きな問題がある。
私=初伊勢海老
さぶろー山=初伊勢海老
おかん=初伊勢海老
誰一人として伊勢海老を食べたことがない。
私とおかんに至っては見るのも初めてで、当然調理経験もない。
つまり、どうしていいか分からない。
さぶろー山は「どうせなら刺身にしたい」と刺身を推したけれど、
残念ながらさばき方が分からない。
これほどまでいかつい殻をどうしていいか分からない。
今ならGoogleがなんでも教えてくれるけど、
20数年前のネットなぞ、ダイヤル回線&ADSL。
すべてにおいて脆弱なうえ、時は正月休み。
本屋すら開いていない。
元気な伊勢海老を目前に私たちは悩んだ。
「一刻も早く食べたい」
「いや、食べねばならない」
だってこの伊勢海老には銀座で伊勢海老が食べれるほどの金額をつぎ込んだのだから。
「三人寄れば文殊の知恵」を信じ、ひたすらに考えた結果、
最終的にでた結論は「茹でよう」。
とりあえず茹でりゃ食える&殻はトンカチで割ればいいという原始人的な思考だった。
三人寄っても下種は下種である。
こうして私たちはでっかい鍋に湯を沸かして伊勢海老を茹でた。
もちろん伊勢海老は活だったので、抵抗もしたと思う。
生きた蟹を調理した時はあんなに心が痛んだのに、
ちっとも心が痛まなかったのは、痛む以上に食べたかったのだ。
それほどに魅力的だったのだ。
なお殻は本当にトンカチで割った。
そして茹でたてほかほかの伊勢海老を3人で少しずつつまむという、
一杯のかけそばならぬ一尾の伊勢海老パーティーが行われた。
初めて食べる伊勢海老は、それはそれは美味しかった。
身はぷりっと締まり、歯ごたえはブリンブリン。
ブラックタイガーを濃厚にしたような旨味と噛むごとに感じられる甘味は一瞬で私の心を捉え、
たまに入る殻はよいアクセント。
誰もが「美味しい!」を連呼し、さぶろー山は「刺身にしたかった」を連呼した。
すべてにおいて初体験だったが、期待以上の美味しさでもあった。
伊勢海老は蜜の味。
あの時の伊勢海老の味は未だに忘れられないし、最後まで「刺身にしたかった」とつぶやくさぶろー山も忘れられない。しつこいて。
そして私たちは、見事に味を覚えて伊勢海老キャッチャーにハマり、
いいカモになったり、それが理由で結婚しようと思ったりもするワケですが、
ただ、伊勢海老が口に入ったのはその時こっきり。
以来、伊勢海老に会う機会もさしてないまま時は流れ、
20数年ほどが経った先日。
大量の伊勢海老が
やってきた!
ホントはここから本題に入るんですが、
本題を目前にして書き疲れました・・・
ご清聴ありがとうございます。
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ありがとうございます。ぺこりぺこり。
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